「恐竜発見夢プロジェクトinみやぎ」 総合学術博物館では、かたちのふしぎ研究グループ主催の博物館体験活動「恐竜発見夢プロジェクトinみやぎ」を後援しました。このプログラムは、平成21年度子ども夢基金助成活動としておこなわれたもので、小学校高学年~高校生を対象として、8月4~5日に実施されました。初日は野外活動で、宮城県東部の牡鹿半島の中生代の地層を観察し、宮城県からはまだ見つかっていない恐竜化石をさがそうというものです。2日目は、初日に採集した化石のクリーニング、化石のレプリカづくり、講師による恐竜のおはなしなどを予定しました。 初日はあいにく未明から雨で、一時は激しく降り、一名の遅刻もなく参加者全員がそろった集合時間の8時になってもやみそうにありません・・・が、県内でも東部は雨の確率が低いという予報をあてにして、貸し切りバスで出発です。参加者を5~6人の班に分け、それぞれに大学生や大学院生の班長がつきます。道中は、参加者の自己紹介や、案内者による本日の観察地点の説明などをおこないました。牡鹿半島が近づくと、雨あしがしだいに衰え、現地では薄日もさすようになってきました。このとき仙台ではまだ雨が降っていたようです。 観察予定地は二箇所。まずは潮が満ちる前に海岸の露頭の観察です。砂浜に降り、そこから海に突き出すようになっている中生代ジュラ紀の地層でできた岩礁にわたります。地層は白っぽい砂岩と黒っぽい泥岩からできていて、従来の地質解説書では河川の堆積物とされています。泥岩には多数の植物の破片が化石として含まれていて、特別講師の東京大学の恐竜の専門家、大橋智之先生によれば、「恐竜が歩いていた可能性がある」とのことです。さっそくみんなで観察と化石採集を始めます。初めてハンマーをふるう子どもたちも、すぐに使い方をおぼえました。あまり大きな標本は採れないものの、植物の葉の化石はけっこう採れます。しかし、なかなか恐竜の骨や歯、足跡は見つかりません。そのうち予想よりもはやく潮が満ちはじめました。急いで後かたづけをして、打ち寄せる潮の弱いときを見計らい、砂浜にもどって昼食です。食事の合間にも浜辺のあちこちに興味をひくものをたくさんみかけました。いろんな貝殻がおちています。海岸のれきには貝のあけた穴があるものもあります。アンモナイトの化石が入った石を見つけた幸運な参加者もいました。 2日目は、まず初日に採集した化石のクリーニングから。小さなタガネを使って余分な部分を落としたり、石にかくれている部分を削りだします。石をはがすと、葉の化石の全体像がわかったり、下から新たな化石が現れたりという発見があります。クリーニングが終わると、つぎは化石のレプリカづくりに挑戦です。材料は白亜紀の恐竜Spinosaurusの歯の化石です。最初は型づくりです。2種類の樹脂材料をまぜあわせて、それで型を取るのですが、時間をかけすぎると型をうまく取る前に樹脂が固まってしまいます。あちこちで「早く! 早く! あっ固まった!!」という叫び声があがります。ある班の机の上は残骸の山。それでも何とか型ができたところで昼休みです。 午後は型に石膏を流し込んでレプリカづくりです。こちらはどの班でも思ったよりうまくいったようです。石膏が固まるまで、大橋先生のおはなしを聞くことにしました。先生は、恐竜研究にあこがれて大学に入り、大学院から恐竜研究をはじめられました。おはなしは「恐竜の研究って? 恐竜の特徴・発掘から研究まで」で、恐竜が属するは虫類の特徴、恐竜の特徴(恐竜に共通する骨格の形)、恐竜の分類からはじまり、昨日の場所から見つかる可能性がある恐竜、恐竜が見つかったらどうするか、どんなふうに見つかることが多いか、どんなものを食べていたのかなど多岐にわたりました。子どもたちからは、「恐竜はどれくらい生きるの?」、「恐竜同士はコミュニケーションをとっているの?」、「恐竜の視力はどれくらい?」などの難問がつぎつぎとだされました。 このページのTOPへ |
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