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計測作業の様子

国史跡清戸迫横穴の3次元計測

 総合学術博物館では、福島県双葉町の国史跡清戸迫横穴(きよとさくおうけつ)の3次元計測を、双葉町の協力を得て、2017年2月9日・10日に実施しました。

 清戸迫横穴は、7世紀に築造された、赤色顔料で人物・動物などを描いた彩色壁画のある横穴墓で、双葉町や周辺地域を代表する文化財です。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故による帰還困難区域に所在しており、従来のような一般公開は不可能なうえ、維持・管理にあたって万全な体制をとることが難しい状態にあります。詳細な3次元データを確保し、新たな研究材料とするとともに、将来の万一の事態に備えることは、貴重な文化財の保全と継承のために重要です。また3次元バーチャル展示方法などを利用して公開・活用することは、原子力災害によって困難な状況に置かれた当地域にとって、とりわけ重要な意味を持ちます。

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清戸迫横穴の保存施設

 総合学術博物館では、古生物学研究で利用してきた3次元計測技術を応用し、東日本大震災の震災遺構などの3次元デジタル測量と3次元バーチャル展示による、震災の記録と防災教育への利用を進めてきました。今回の計測事業は、東北大学の平成28年度総長裁量経費「福島原発事故被災地域復興のための3次元記録を用いた地域の記憶継承・活用プロジェクト」における経費を用いて実施しました。

 計測にあたっては遺構の保全を第一に様々な条件を検討し、ドイツ・ブロイックマン社製の光学式非接触ハイエンド3DスキャナであるsmartSCAN-HEを使用しました。壁面の工具痕跡も詳細に再現でき、スペースの限られる場所での高精細3次元計測にとって、有効な方法であることを証明できました。

 今回の計測事業は、朝日新聞、読売新聞、河北新報によって報道されました。朝日新聞では全国版一面に掲載されるとともに英語でのWEB配信もなされ、社会的な関心が高いことを示すものです。

朝日新聞記事(2017年2月10日 )
『帰還困難区域の史跡、3Dで記録 福島・双葉の装飾横穴』

朝日新聞英語記事(2017年2月10日 )
『Tomb with ancient mural surveyed near Fukushimaplant』

読売新聞記事(2017年2月10日)
『帰還困難区域内の壁画墓、3次元データを計測』

河北新報記事(2017年2月11日)
『<全町避難>双葉町アーカイブ 3D画像に』

毎日記事(2017年2月28日)
『町の誇り、3D画像で残せ 町と東北大、保存活動 福島・双葉の壁画、「帰還困難」で管理できず』

 

 

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