アンモナイト類(アンモノイド:以下アンモナイトと略称)の化石は、三葉虫や恐竜などの化石とともによく知られています。直径が1mをこえるような大型の化石をふくめ、美しいアンモナイト標本を多数産出するところとして北海道が知られていますが、北上山地や阿武隈山地の東縁部がアンモナイト化石の“宝庫”であることはあまり知られていません。
東北大学では、1911年の理科大学の発足とともに日本で2番目の地質学教室ができました。さまざまな種類の古生物研究が活発に行われ、東北大学の名前が世界に知られるところとなりました。アンモナイト研究もそのひとつで、初代教授 矢部長克とその門下生、さらにはその後輩たちによって100年にわたり引き継がれてきました。その研究に用いられた、新種を含む多くのアンモナイト標本は、総合学術博物館に収蔵されています。もちろんその中には“みちのく”産のものがたくさんあります。
この企画展では、東北大学100年のアンモナイト研究をふりかえりながら、その成果としてのアンモナイト標本を多数展示し、アンモナイトの宝庫としての“みちのく”の新たな魅力をご紹介いたします。
2009年10月 東北大学総合学術博物館館長
永広昌之