脳のうごき |
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脳機能イメージングが拓くもの「脳を知り、脳を育む」
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簡単なゲーム「信号でゴー」 |
順に表示される3つ点の位置を覚えます。少し間をおいて、点の位置を順番に思い出してみます。私たちは、これと似たような「ちょっと記憶」を暮らしの中で毎日、繰り返しています。
ちょっと記憶してみると |
脳には言葉を担当している場所、いわゆる言語中枢があり、ブローカ野、ウェルニッケ野、角回と呼ばれている。ブローカ野は言葉を話すこと、ウェルニッケ野は言葉を聞くこと、角回は言葉を読むことをそれぞれ分担していると考えられています。
子供のときに自然に覚える母国語と大きくなってから勉強して身につける外国語では、おなじ言葉の読み・聞き・話すですが、脳の違う場所を使っていることがわかってきました。文の構造からみると韓国語と日本語は似ていますが、韓国語と英語は似ていません。韓国人が韓国語、日本語、英語を学ぶとき、脳の使う場所を比べてみると、韓国語、日本語、英語の順に脳の広い範囲を活発に使っていることが分かります。母国語と外国語では脳の違う場所を使うばかりでなく、外国語によっても脳の働く場所が異なっているのです。
外国語を話すとき、どこを使うのか |
人のこころの中心に「自分」がいます。脳の中には「自分」のための特別の場所があるのでしょうか?脳にとって「自分」の顔は特別な存在のようです。「自分」の顔と友達の顔、それぞれの見ているとき、脳の違う場所が働いています。「自分」の身体を見ているときには、さらにたくさんの場所が活動しています。身体的な「自分」は、はっきりと「他の人」と区別して右脳の頭頂葉と前頭葉で認知されていました。
学習療法は、音読や計算をインストラクターとコミュニケーションを取りながら行う治療法です。この学習療法は認知症の症状改善にたいへん効果が高く、音読や計算という脳のトレーニングをすることで体も元気になる事例が、目の前で次々と起きています。認知症では、家族とのコミュニケーション、行動や情動の制御や社会性といった前頭前野の機能に関わる障害が多くの場合で認められます。脳機能イメージングを使って、音読や簡単な計算している人の脳を調べてみると、前頭前野が盛んに活動していることが分かりました。このことから前頭前野を使うことで認知症の機能障害を軽減できると考えることができます。なぜそうなるかは詳しく分かりませんが、ヒトの脳にはそういう性質があるのです。この学習療法は、脳機能イメージングのもつ応用科学としての無限の可能性を示す一つのよい例といえないでしょうか。
脳を白地図と考えて、さまざまな機能がどこにあるのかを書き込んでいく。これが私たちの脳機能イメージング研究です。私たちは、「こころ」は脳の活動によって生まれると考えています。現代の技術によって、神経回路網の電気的活動である脳の活動を計測できるようになりました。この研究が深めまり、「こころ」の回路網を解明できたならば、もしかしたら、自分の「こころ」を計算機の中に入れることさえ、できるようになるかもしれません。
この方法では、非常に強い磁気を使って体の組織の原子核を共鳴させて、そこに電波で衝撃を与えます。こうすると原子核からは、組織の種類によってちがう信号がでてきます。この信号をとらえてコンピュータで計算すると、体を輪切りにしたような断層画像を作ることができます。MRIで撮影した脳のスキャン画像では、組織の違いがはっきりとわかるばかりでなく、病変した部分を映し出すこともできるのです。
脳室を通る水平断面のMRI断層画像(左:T1強調画像 右:T2強調画像)。病変部分がはっきりと映っている。 |
1990年、小川誠二博士によってMRI装置を使って高速撮影することで脳中の血の流れを測る方法が発見されました。神経細胞の活動は、血液で運ばれてくるブドウ糖と酸素を燃料としています。つまり、血液が盛んな場所は、それだけ神経細胞の活動がさかんといえます。そのため、fMRI装置では脳の活発に活動している場所がわかるのです。
これは日本で生まれた計測技術です。光ファイバーを使って頭皮の上から脳に向けて弱い近赤外光を照射すると、照射された光の一部は頭皮の下25から30mmにある大脳皮質を通って戻ってきます。光が大脳皮質を通るとき、この部分に流れている血液中のヘモグロビンによる吸収を受けることから、戻ってきた光を調べることで血流の変化を測ることができるのです。この方法では、fMRI装置とちがって頭を固定する必要がないため、料理やゲームといったより自然な環境のなかで行動している時の脳の活動を計測することができます。
近赤外計測による調理実験 |