東北大学総合学術博物館のすべて 企画展「脳のかたち 心のちず」

イントロダクション 認知の不思議な世界イントロダクション 認知の不思議な世界

認知の不思議な世界

文学研究科心理学教室教授 行場次朗
医学系研究科特別研究員 鈴木美穂

網膜に光があたり、音が鼓膜を振動させます。においの分子は鼻の嗅細胞を刺激します。これらの感覚刺激は、脳の感覚情報を担当する場所で処理された後、連合野とよばれる大きな場所に送られて適切な意味が添えられます。外から入ってきた情報はこの段階まで来てはじめて、意味のある認知となります。私たちが思い描く外のようすは、外からの刺激がきっかけとなっていますが、そのままの忠実な反映というよりは、むしろ独自に構築しなおしたものなのです。私たちは、普段はそうと気づかずに生活しています。錯覚のような簡単な実験は、外側の物理世界と内側の心理世界のギャップを教えてくれるのです。

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錯視「秋の沼」 錯視「サクラソウの畑」 錯視「風船」

「秋の沼」 中の正方形が動いて見える 作品提供:北岡明佳 立命館大学文学部教授

「サクラソウの畑」 背景の市松模様はすべて正方形だが、波打って見える 作品提供:北岡明佳 立命館大学文学部教授

「風船」 風船がしぼんでいくように見える 作品提供:北岡明佳 立命館大学文学部教授

ことばの中にある不思議

文学研究科言語学教室 助教授 小泉政利

「夕暮れ」

もう夕暮れは近いのに
もう夕暮れが近いのに

小さな 小さな子が 公園で遊んでいます。
小さな 小さな子は 公園で遊んでいます。

誰が 公園で遊んでいますか?
誰は 公園で遊んでいますか?

あなたが 公園に探しに行った。
あなたが 探しに公園に行った。

誰が 公園で遊んでいますか?
誰は 公園で遊んでいますか?

あなたが 公園を探しに行った。
あなたが 探しに公園を行った。

もう夕暮れは近いのに
もう夕暮れが近いのに

この「夕暮れ」という詩のなかには、「変な日本語」と感じる文がいくつか混じっています。この「変だ」という感覚は、私たちの脳の中にある「文法(言語知識)」との違いから生じてきます。では、この文法(言語知識)はどのようなもので、いつ、どのようにして私たちに備わるのでしょうか?言語学者は、いつもこんなことを考えています。

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