アンモナイトは今から約4億年前のデボン紀から繁栄を始めました。そのデボン紀のアンモナイトを産出するのは、わが国では北上山地のみです。産地は一関市東山町の粘土山(セメント製造の際混合させる粘土を採掘した跡地)で、鳶ヶ森層の最上部の泥岩中に腕足類、コケムシ、三葉虫などとともに含まれています。
デボン紀の化石が日本で最初に見つかったのはこの粘土山の鳶ヶ森層です。地球上で初めて森林ができたデボン紀後期の巨木(リン木)の化石も、鳶ヶ森層から産出しています。
北部北上帯のジュラ紀の付加体(海洋でできたたい積物と陸上のたい積物が大陸の縁に加わったもの)の中には、石炭紀からジュラ紀までのさまざまな時代の石灰岩があります。これらの多くは、昔の“太平洋”にあった海山の頂上にたい積したもので、海洋プレートの移動にともなって、はるかかなたからやってきたものです。岩手県一戸の南方(葛巻町尻高)に分布するこれらの石灰岩の一部から、最近、アンモナイト化石が発見されました。年代的には、石炭紀アンモナイトを産出することで知られる中国地方の秋吉台や阿哲台、中部地方の青海の石灰岩と同じで、これまで見つかったプロレカニテス、ファーキンゴセラスなどは後期石炭紀のものです。