メイセンニシキという浅い海に棲む二枚貝の化石があります。朝鮮半島北部明川(めいせん)から発見されたことから地名をとって命名されたこの化石は日本海の歴史を物語ります。
朝鮮半島と日本は日本海を挟んで隔てられていますが、ふたつの地域の同じ時代の砂岩層から”メイセン”と命名された同じ種類の貝の化石が見つかるのです。このように、約800km離れた朝鮮半島と日本の地層からたくさんの同じ種類の貝化石が見つかることで、これらの砂岩層ができた約1600万年前、日本海を挟んだふたつの地域が現在よりもっと近く、つまり、日本海が狭かったことがわかるのです。
青森県から石川県にかけての広い地域に、淡い緑色をした厚い凝灰岩層が分布しています。その色から、グリーンタフ(緑色凝灰岩)と呼ばれています。グリーンタフは浅い海に棲む貝化石を含む砂岩層と、水深数千mの深海艇の泥岩層の堆積物に挟まれています。このような地層の重なりかたは何を意味するのでしょう。
これは日本海の形成と関連があると考えられています。約1600万年前、朝鮮半島と日本はくっついていましたが、大規模な地殻変動によって徐々に離れはじめます。日本海が開きはじめたのです。開き始めた浅い海に砂がたまって行くうちに、海底火山活動が活発化し、グリーンタフを厚く堆積させました。日本海が広く開くにしたがって、海底が急に沈みこみ、グリーンタフの上に深海底の泥岩層が堆積していったのです。
グリーンタフは東北地方から北陸地方までの非常に広い地域で見つかるために、激しい海底火山活動が同じく広い地域であり、現在の広く深い日本海を形成したのだと考えられています。黒鉱鉱床はグリーンタフに挟まれて見つかることから、黒鉱は日本海を作った、この激しい海底火山活動によって作られたと考えられています。
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