1911年、東北大学地質学科が創設されて以来、研究教育の成果として数多くの標本が登録されており、1番から始まった登録番号は、現在11万弱に達しています。記念すべきIGPS番号1番、最新のIGPS番号(109885番)の標本など、10数点を展示します。
※IGPS=Institute of Geology and Palaeontology, Tohoku University, Sendaiの略
東北大学は、本州の北にありながら熱帯・亜熱帯のサンゴ礁ならびに造礁生物の研究に力をそぞぎ、わが国の研究拠点としての歴史と伝統を誇っています。地質学講座の矢部長克初代教授は、地質学・古生物学全般にわたる基礎研究を主導し、あわせて多くの有為な研究者の育成に貢献されました。その中でも、矢部教授みずからフィールドに赴き、大きな礎を築いたのが、サンゴ礁と造礁生物の研究です。
研究対象は、琉球列島のみならず、パラオ諸島など、当時日本の信託統治領だった南洋群島がふくまれていました。1934年、パラオに熱帯生物研究所が設立され(初代所長は東北大学理学部生物学教室の畑井新喜司教授)、サンゴ礁に生息する様々な動物の生物学的研究が行われました。この熱帯生物研究所は、第二次大戦がはじまってまもなく、戦渦のため閉鎖されましたが、研究の成果は世界的に評価され、国際的な科学雑誌『Nature』でも紹介されました。
六放サンゴは刺胞動物の仲間で、イソギンチャクと同様の触手をもち、その先端の刺胞細胞で動物プランクトンを摂取します。また、体内に共生する褐虫藻が光合成を行い、サンゴに酸素を供給し代謝を支えています。生きている時は様々な色を呈していますが、軟体部を取り除くと真っ白な炭酸カルシウムでできた骨格が現れます。現在では、ワシントン条約によって造礁性六放サンゴの採取は禁止され、研究のためには特別の採取許可が必要です。
本学医学系研究科人体構造学講座には、東北地方の遺跡から発掘された多数の人骨があります。松本彦七郎、長谷部言人、山内清男、百々幸雄等は、各遺跡から考古学的な発掘調査によって確認された時期の判明する人骨についての研究をすすめ、人類学、考古学、医学、解剖学の様々な分野の解明に大きく貢献しました。
本展示では、研究で収集された人骨標本の一部を展示し、縄文時代~現代までの頭骨の特徴と、頭骨が時間の流れの中でどのように変化しているのかをご覧ください。