北上山地はわが国におけるペルム紀アンモナイトの“宝庫”です。南部北上帯の広い地域から多数の標本が得られています。北上山地からこれまで報告されているペルム紀アンモナイトは、未記載のものを含め、前期ペルム紀アンモナイト2属、中期のもの20属(同じ地質区に属する阿武隈山地八茎地域のものを含めれば23属)、後期のもの13属です。
わが国全体から知られている属の、前期では3割強、中期では8割、後期においては10割を北上山地産が占めているのを見れば、北上山地がペルム紀アンモナイト研究においていかに重要な地域であるかがわかります。とくにペルム紀中期のアンモナイトは豊富で、後期のものは北上山地以外では知られていません。
北上山地のペルム紀アンモナイトは、1970年代までは限られた年代のものからしか知られていませんでした。現在ペルム紀の地層からは28属のアンモナイトが報告されていますが、そのうちの半数を超える17属は1980年代以降に新たに得られたものです。とくにペルム紀の地層の中部~上部から、ゴニアタイト目、プロレカナイト目、セラタイト目などの多彩な種類が発見され、それらの年代を決める上で大きな役割を果たしています。