みなさんがよく知っている畑の中のミミズは、土を食べ、消化し、フンとして排出することによって土を耕して肥やします。水を張った田んぼにも、水の中で生きることができるミミズ(イトミミズ)が住んでいます。田んぼのイトミミズはどんな働きをしているのでしょうか。
イトミミズは頭を土の中に入れて活発に土(の中の有機物や微生物)を食べ、尾部を土の表面に出してフンを排出します。イトミミズの働きはおもに3つ考えられます。
①: ベルトコンベアーのように下層の土を表面に持ち上げる
②: 土にたて穴を堀る
③: 土の有機物を部分的に消化し、土の養分が出やすくなる
①の働きでは、下層の土を表面に持ち上げることによって雑草の種子を土にうめこむので、農薬を使わない有機栽培の田んぼで雑草を少なくすることが期待されます。
②の働きで土の中に水が入り、養分(窒素やリン)が表面水にでていきやすくなります。②と③の働きによって、田んぼの水にプランクトンの栄養分である土の中の窒素やリンが増加します。その結果、植物プランクトンとそれを食べる動物プランクトン(ドジョウやオタマジャクシなどのエサ)がふえます。さらに、イトミミズ自身も栄養分が豊富なエサとして優れています。田んぼにドジョウやカエルがふえると、それを食べにサギやコウノトリなどの水鳥がやってきます。このような食物連鎖のつながりを通じて、イトミミズは田んぼの生態系を豊かにしていくのです。