土の小さな生き物の中には、空気から肥料を作るものがいます。最も身近なものはダイズなどのマメ科植物の根に共生している「根粒菌」です。窒素分が少ないやせた土でも、マメ科作物を植えると盛んに育つことは昔から知られていました。
根粒菌はマメ科植物の根にこぶ状の「根粒」を形成します。切ってみると、中は赤くなっています。この赤い色は、マメ科植物と根粒菌が共同してつくるタンパク質で、私達の血液中のヘモグロビンと似ています。空中の窒素を有機窒素化合物に還元するためには酸素が必要ですが、この赤いタンパク質は、酸素の少ない土中の根粒で多量の酸素を運んでいます。
共生は二つの生き物が互いに助け合って生きていることですが、マメ科植物と根粒菌は、まさにその共生にあたります。マメ科植物は太陽エネルギーから作り出した糖を根粒菌に与え、その見返りとして根粒菌は空中から作った窒素肥料をマメに与えています。
根粒菌とマメ科植物のこのような関係は約7000万年前に作り出されたといわれています。ただ、どの土にも役に立つ根粒菌が住んでいる訳ではないので、マメ科植物を栽培するときには、製品化された根粒菌を利用することができます。