東北大学総合学術博物館のすべて Ⅷ 「中国・朝鮮国境の大活火山 白頭山の謎」

日中朝韓が共同する理由

中国とは海をはさむ日本に住む私たちが、なぜ白頭山噴火の調査研究を進めているのでしょうか? 白頭山の10世紀噴火による噴出物の分布を調べると、偏西風にのって、ロシアの沿海州、日本の東北地方や北海道にまで多量の火山灰が降下していたことがわかっています。このことは、今後、白頭山において大規模な火山活動が発生した場合、中国や朝鮮ばかりではなく、日本やロシアも直接的な被害にさらされ、さらには、韓国も間接的に被害にあう可能性があることを意味しています。

もし火山が噴火するとするなら、それによる災害はどのようなものであり、どれくらい広がるのかなどは、過去の噴火についての地質調査や古文書の記録をもとにして考える必要があります。このような調査・研究をおこなうためには国際的な協力が求められているのです。

このような背景のもと、東北大学東北アジア研究センターでは、日本国内はもとより、中国の吉林大学や延辺大学、中国地震局、そして歴史学者や朝鮮語学者などをふくめたさまざまな学者とともに研究を行ってきました。さらに、朝鮮や韓国の学者も含め日中朝韓4ヶ国による国際共同研究を試みてきました。東北アジア地域の人々の共生の実現を目指し、文系理系研究者の連携・国際協力のもとに共同研究を行っています。

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