中国と朝鮮は、清の時代(1636-1912年)から白頭山とその周辺における領土をめぐって争い続けてきました(間島問題)。それは、国境や歴史認識に関する高句麗問題、東北工程などの諸問題の一部として現在でも引き継がれています。とりわけ、韓国と朝鮮双方の国歌や朝鮮民謡アリランにも歌われている白頭山の領有権をめぐっては、中国と韓国との間はいまだ緊張関係にあり、“長白山”という中国側での名称そのものにさえ韓国側から反発の声があがることがあります。
このような複雑な情勢に加えて、最近の脱北者問題なども関わって、学術調査であっても、白頭山地域での行動は以前より一層制限されてきています。朝鮮においても、韓国人への白頭山観光について韓国との間で話し合いをしていますが、いまだに実現していません。そのため、平壌から白頭山のある三池淵(サンジヨン)までのアクセスを含め現地での受け入れ体制は整わず、軍による警戒態勢の実施という現実とともに現地調査を一層困難なものにしています。
アリラン アリラン アラリヨ
アリラン峠を越えて行く
あそこ、あの山が白頭山だが、
冬至師走でも花ばかり咲く
東海の水が干上がり、白頭山がすり減るほどに
神様が護持してくださり、わが国万歳
むくげ、三千里、麗しき山河
大韓の人、大韓として、永遠に保たん
白頭山の気をみないだき、勤労の精神は宿り
真理で1つになった固き心、全世界に先立ち進まん
湧き立つ力、怒涛も押し出し、人民の意で建った国
限りなく豊かで強い朝鮮、永遠に輝かさん