南三陸町歌津館浜北方の露頭で化石をさがす

平成25年活動の記録

平成25年体験活動
「南三陸は魚竜化石の宝庫2!」

平成25年度子どもゆめ基金助成活動として、8月8、9日の2日間にわたり、「南三陸町は魚竜化石の宝庫2!」を開催しました。
この活動は、昨年開催された「南三陸は魚竜化石の宝庫!」の第二弾として、小学校高学年~中学生を対象に、郷土の大地の生い立ちや自然のふしぎを学ぶことを目指して開催されたものです。

東日本大震災で大きな被害を受けた南三陸町歌津管の浜「魚竜館」の標本レスキューを東北大学総合学術博物館が主導して行っていたこともあり、昨年に引き続き、今年も体験活動を通して魚竜化石の宝庫としての南三陸町の価値を再発見してもらい、地域復興の動きにつなげるために南三陸町歌津で行うことになりました。

1日目は南三陸町歌津館崎とその周辺の大沢層で魚竜化石(ウタツサウルス)が産出する地層を、歌津皿貝の長ノ森層では皿貝化石(モノチス)が産出する地層を観察し、化石の採集もしました。
2日目は南三陸町歌津の平成の森にて、採集した化石のクリーニングや展示作りのワークショップを行いました。
今年は、気仙沼市や本吉郡、仙台市から18名の児童・生徒が参加しました。

「歌津コミュニティ図書館 魚竜」に集合

永広隊長による化石と地質の説明

1日目は朝10時40分に、南三陸町歌津にある平成の森に併設された「歌津コミュニティ図書館 魚竜」に集合しました。
永広隊長から、日本で唯一南三陸町から産出する魚竜化石と、南三陸町の地質についての説明がありました。館内には南三陸町で産出した魚竜化石やアンモナイト化石が展示してあり、ここではどんな化石が出るのかを観察しました。

魚竜化石産地(天然記念物指定)の観察

貸し切りバスに乗って魚竜化石産地へ移動です。まず向かったのは、天然記念物に指定されている歌津館崎の魚竜化石産地の露頭です。ここでは、世界最古と考えられている魚竜、ウタツサウルスの化石が産出した地層を観察しました。
ウタツサウルスは、前期三畳紀(約2億5千万年前)の浅い海でできた大沢層から産出しました。黒っぽい地層の中に、魚竜、アンモナイト、植物の化石などがあるのを観察しました。

化石採集のようす

館崎からバスで数分移動した大きな露頭のふもとの木陰でお昼ごはんを食べ、食べ終わった人から、いよいよ化石採集です。ここからも魚竜化石の一部が見つかっています。山を切り出した大きな斜面に取りついて、注意深く化石を探しました。

採集した化石の山

足元に無数に転がっている石の表面をよく見ると、アンモナイト、二枚貝や植物といったさまざまな化石がみつかりました。大きな石をハンマーで一生懸命叩いて割ると、そこからも化石が出てきます。大沢層では珍しい、小型のアンモナイトが密集している層や二枚貝の密集層もみつかりました。みんな自分の手で化石を見つけることができました。

皿外(モノチス)化石の採集

10分ほどバスに乗ると、歌津皿貝の皿貝化石産地に到着しました。
町指定の天然記念物の露頭で、ドイツ人地質学者エドモント・ナウマン博士によって日本で最初に発見された三畳紀の化石である皿貝化石(モノチス)を観察したあと、近くの採石場で採集しました。貴重な化石でバッグをいっぱいにして、みんな笑顔で帰りのバスに乗り込みました。

平成の森で小さな博物館の完成

採集した化石のクリーニング

2日目は、平成の森での活動です。昨日採集した化石のクリーニングから始めました。
表面についた泥や汚れを水道できれいに洗い流します。化石のまわりに付いている余分な石はハンマーやノコギリを使って落としました。
きれいになった化石は、永広隊長や他の講師に鑑定してもらい、標本ラベルをつくりました。

みんなの展示作り。みんなで壁画に色を塗っています。

お昼ごはんのあとは、平成の森アリーナのロビーで展示づくりをしました。
1人1枚、黒い線が引かれた白い正方形の用紙を受け取ったら、絵の具を塗り,絵を描きました。みんなの絵を順番に並べてつなげると大きな1枚の魚竜の壁画が完成し、拍手と歓声が沸き起こりました。
みんなで作った魚竜の壁画はロビーの壁に貼り、その前に設置した展示ケースに、みんなで採ってきた化石を並べたら、小さな博物館の完成です。

平成の森アリーナに完成した展示のようす

まとめの時間では、一人ずつ感想を発表しました。みんな化石採集や展示制作体験などの良い思い出ができ、化石や郷土の生い立ちに関心を持ってもらえたようです。
みんなで作った展示をたくさんの人たちに見てもらい、南三陸町の素晴らしさを知ってもらえることを願っています。

(学生スタッフ 白井孝明)