平成22年体験活動
「恐竜発見夢プロジェクトinみやぎ2010」
平成22年度子どもゆめ基金助成活動として、8月3日~4日の2日間にわたり、「恐竜発見夢プロジェクトinみやぎ2010」を開催しました。この活動は、小学校高学年~高校生を対象として、宮城県では初めてとなる恐竜化石の発見をめざしています。
去年に引きつづき今年は2回目のチャレンジとなり、今年こそは恐竜発見なるかとの期待に胸をおどらせました。
1日目は実際に宮城県東部の牡鹿半島において中生代の地層を観察し、2日目は採集した化石のクリーニング、講師による恐竜についてのお話、恐竜の歯化石のレプリカづくりなどをおこないました。
今年も、230名をこえる多数の応募があり、厳正な抽選の結果30名がえらばれました。
中生代ジュラ紀の地層から植物の葉の化石を採取
1日目は朝8時に大学博物館に集合して、貸し切りバスで牡鹿半島へ出発です。
参加者は、5人ずつ6つの班にわかれて、それぞれに大学生や大学院生の班長がついています。
バスの中では、特別講師である北九州市立自然史・歴史博物館の大橋智之先生から、恐竜化石の本物を見せてもらい、露頭での恐竜化石発見のイメージトレーニングをしました。
2時間のドライブの後、林道沿いの露頭におりて中生代ジュラ紀の河川でできたとされる地層を観察しました。
ここでは、植物化石がみつかります。この地層のどこかに、草食恐竜が食べたのと同じ種類の植物も含まれているかもしれません。そして、運がよければ、植物化石といっしょに恐竜の化石がみつかるかも。
最初は、どれが化石かわからなかった子どもたちも、仲間が形のきれいな植物化石をみつけると、ますますはりきってハンマーをふるいます。でも、この場所では恐竜化石は残念ながらみつかりませんでした。
2番目の地点は、海岸の露頭です。まずは砂浜におりて、みんなでお昼ご飯をたべました。
目の前の海岸には、海へと突き出た岩礁が見えます。この岩礁は、中生代ジュラ紀の地層でできており、砂岩と泥岩が交互に重なりあう河川の堆積物と考えられています。
お昼を食べ終わってから、さっそく浅瀬をわたって岩礁によじのぼり、みんなで化石採集の始まりです。岩礁は足場が狭くて、なかなかハンマーを上手にふるえませんが、黒い泥岩からたくさんの植物の葉の化石が採れました。
ここでも時間をかけて化石をさがしましたが、やはり恐竜の骨や歯、足跡はみつかりませんでした。それでも、全員が自分の手で植物化石をみつけることができて、みんな笑顔で海岸での記念撮影となりました。
帰りのバスでは、同じの班の仲間や班長さんたちともすっかり仲良くなって、いろんな話をしました。
恐竜の歯化石のレプリカづくり
2日目は、現地で採集してきた植物化石のクリーニングから始めました。
小さなタガネとハンマーを使って、植物化石のまわりについている余分な石を落とし、石にかくれている部分を削りだします。石をはがすと、葉の化石の全体像がわかったり、下から新たな化石が現れたりという発見があります。
最後は、植物の名前を調べて、ラベルをつくって標本箱に化石といっしょに入れました。
クリーニングの次は、化石のレプリカづくりに挑戦です。材料は白亜紀の恐竜Spinosaurus の歯の化石です。
午前中は、シリコンでできた化石の型に石膏を流し込んでレプリカができるまで待ちます。型を取るのに使った本物の恐竜の歯の化石は、教室の後ろに飾っておきましたが、それをずっと見ている子どももいました。
大学の教室でお昼ご飯を食べながら、テレビのニュースで昨日の化石発掘の様子が放映されるのをみんなで見ました。
昼食後は、特別講師の大橋先生のお話です。大橋先生は、恐竜研究にあこがれて大学に入り、大学院から恐竜研究をはじめられました。
大橋先生の話は、恐竜の特徴や、恐竜の分類からはじまり、恐竜の化石はどのように復元するのか、恐竜の色はどうやって決めているのか、恐竜はどうして絶滅したのかなど多岐にわたりました。
大橋先生のお話が終わったころには、石膏のレプリカもすっかり固まって、今度は水彩絵の具を使って恐竜の歯化石に色をつけることになりました。
歯の色だから白く塗る子が多いのかと思いきや、自由な発想で塗られた化石は、赤・黄・緑の縞模様だったり、獲物の草食恐竜を食べたばかりの血がしたたる模様が描かれてあったり、じつにユニークな作品ばかりとなりました。
最後に、大学博物館で実際の恐竜化石を見学して、来年こそは宮城県初の恐竜を見つけようと、あらためて決心を固めて解散となりました。