企画展 東北大学総合学術博物館のすべて Ⅱ
「未知の生物資源 冬虫夏草の世界」 開催の様子
東北大学が所蔵する学術コレクションを紹介する「東北大学総合学術博物館のすべて」シリーズの第2回企画展として、「矢萩・冬虫夏草コレクション」に焦点をあて、「未知の生物資源 冬虫夏草の世界」が、総合学術博物館・大学院薬学研究科・大学院理学研究科附属植物園の共催で、大学院生命科学研究科・大学院農学研究科の学術協力をいただき、2004年10月23日より11月30日までの39日間、附属植物園を会場として開催されました。
「冬虫夏草」は、冬から夏にかけて虫が草へと変態する珍奇な現象として古くから注目を集め、滋養強壮、鎮静、鎮痰に効果がある漢方薬として珍重されてきました。
冬虫夏草は、「冬虫夏草菌」が昆虫に寄生した”きのこ”ですが、特定の昆虫に特定の菌類だけが寄生する「寄主特異性」とよばれる性質で知られています。
そこで、展覧会では菌類の分類・生態、ライフサイクル、「冬虫夏草」の分類形質と寄主を解説し、菌類と寄主の関係に関する最近の分子生物学の成果を紹介しました。また、立場をかえて昆虫から見るならば「冬虫夏草」は病気といえます。そこで、昆虫の生体防御機構、菌類の感染経路について解説しました。
最後に、「冬虫夏草」の薬用資源としての課題と可能性について、最近の薬学研究の成果の紹介をまじえて解説しました。会場には、「矢萩・冬虫夏草コレクション」液浸標本73点に加えて、伊沢正名氏撮影の「冬虫夏草生態写真」25点、清水大典氏の標本スケッチ画(複製)24点も展示されました。
また、展示資料標本ラベルには大竹茂夫氏の冬虫夏草に題材をとった作品がそえられ、会場を回る楽しみのひとつとなっていました。
10月23日に行われた開会式には、当日開催された植物園公開市民講座への参加者もまじえ多数の方の出席をいただきました。本企画展の期間中の入場者数は、1,816人にのぼりました。
この展覧会にあわせて、11月3日には、「医薬資源としての冬虫夏草」と題し、日本薬科大学の伏谷眞二教授の公開講演が開催され、あいにくの天候にも関わらず、盛会となりました。
最後になりましたが、本展覧会開催のために貴重な資料をご出品いただきました皆様、ご協力いただきました関係各位に厚く御礼申し上げます。
↓企画展の詳細ホームページをアップしました。